街道をゆく〈21〉神戸・横浜散歩ほか (朝日文庫)



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街道をゆく〈21〉神戸・横浜散歩ほか (朝日文庫)
街道をゆく〈21〉神戸・横浜散歩ほか (朝日文庫)

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司馬氏の暖かさの残る短い道のりを記す小品

芸備のみち、では毛利氏、そして門徒集の歴史を暖かく見つめなおす旅、
神戸・横浜散歩は、歴史ある大きな港町として並び称されるそれぞれが、
歴史的にも文化的にも、微妙に違うことを、改めて考証する散歩、では
なかったでしょうか。

個人的に縁のある土地に対する考証でもあり、身近に感じつつも、自分
自身の知らなかった側面が大変多く、非常に示唆を頂いた名品だったと
感じました。

本品の大半を占める、神戸・横浜散策は、主に幕末から近現代に至る時代
を映し出してきたもので、より身近な主題が含まれるため、他のシリーズ
よりも、読みやすい印象も受けました。
開港の頃

 初出は1979、82年の『週刊朝日』。
 21巻には「芸備の道」、「神戸散歩」、「横浜散歩」が収められている。
 芸備の道は広島から三次までをたどる旅。毛利氏の発祥の地であり、彼らがどのようにして領土を拡大していったか語られている。やや地味ながらも堅実で聡明な毛利氏への温かい眼差しが印象的。
 神戸と横浜の散歩は、開港の頃を取り上げ、両者がいかに違う雰囲気をつくり出しているか眺めたもの。いずれも著者に縁の深い土地であり、文章にも情感がこもっている。ただ、いずれも小品という印象が強い。
「神戸散歩」

神戸は港町であるけれども、その山と海の間の狭さと長さゆえに、
様々な様相を見せる。
水をたずねての旅(六甲)をしながら、神戸の豊かさを噛みしめた思いがある。

「街道をゆく」は、地理と歴史の見事なコラボレーションでどれも素晴らしいが、
この「神戸散歩」は小品ながら、
司馬遼太郎が贔屓にしているいろいろな事柄が重なっていて特に面白い。
横浜散歩のみの感想

司馬遼太郎は横浜の印象を「時間についての意識をもちすぎているだけに横浜は神戸より暗く哲学めいている」と語っている。理由は横浜のホテルが醸し出す重々しい雰囲気と敗戦後、米軍が横浜港の全てが米軍に接収される時、当時の半井清・市長が「これで先人の築いた横浜は全てを失った」と述べたというエピソード。なるほど海を次々に埋め立てて行く神戸に比べ横浜は横浜らしさという歴史遺産を大切にしているのかもしれない。ただ海を埋め立てなかった事は都市計画を考え、また都市の発展を考えた場合、如何なモノだったのだろうか。もしかしたら横浜は東京に近い事で運良く発展を続けているだけなのかもしれない。この点について司馬遼太郎は「横浜と神戸はよく比較されるが、港湾としては神戸は国家の運命をじかにうけるよりも、どこか緩衝作用が働いていて、直撃されることが横浜よりはすくない」と書いている。どちらかというと司馬遼太郎は神戸贔屓である。司馬氏が関西人として故郷を愛している所以なのであろうか。



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